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商品・レシピ

商品検査室より

ボツリヌス症について

2017年11月04日

こんにちは!今回は、ボツリヌス菌についてお話します。今年に入って、「乳児ボツリヌス症」による死亡例が報告されました。ボツリヌス菌ってどんな菌でしょうか?
ボツリヌス菌は、土壌や海、湖、川などの汚泥中に分布している嫌気性菌(生育に酸素を必要としない菌)で芽胞を形成します。芽胞は低酸素状態に置かれると発芽・増殖して毒素を出します。
ボツリヌス症には、食品中で増えた毒素を食品と共に摂取した時に起こる「ボツリヌス食中毒」と乳児に発生する「乳児ボツリヌス症」等があります。

  • ● ボツリヌス食中毒:食品を摂取後8~36時間で、吐き気、嘔吐や視力障害、言語障害、嚥下困難などの神経症状が現れます。重症例では、呼吸麻痺により死亡します。
  • ● 乳児ボツリヌス症:ボツリヌス菌の芽胞を摂取すると腸管内で菌が増殖し、産生された毒素を吸収し発症します。潜伏期間は3日~30日で、便秘状態が数日続き、全身の筋力の低下、顔面が無表情、首や頭が支えられない、泣き声が小さくなる、母乳やミルクが飲めなくなるなどの麻痺症状が特徴です。

原因食品は、酸素のない状態になっている保存食品・発酵食品で、ビン詰、缶詰は特に自家製のもの、容器包装詰め食品(レトルトに類似しているが、120℃4分の加熱処理がされていないもの)。ボツリヌス菌が増殖すると容器が膨張し、開封すると異臭がする場合があります。乳児ボツリヌス症は、蜂蜜や自家製野菜スープなどが感染源として報告があります。1987年10月厚生省が「1歳未満の乳児には蜂蜜を与えないよう」通知を出しました。

予防方法

  • ① 容器包装加圧加熱殺菌食品(レトルトパンチ食品)や大部分の缶詰は120℃4分以上の加熱が行われているので、長期保存は可能ですが、「食品を気密性の容器に入れ、密封した後、加圧加熱殺菌」という表示のない食品、「要冷蔵」「10℃以下で保存してください」などの表示がある場合は、必ず冷蔵保存して期限内に消費してください。
  • ② 真空パックや缶詰が膨張していたり、食品に異臭がある場合は絶対に食べないでください。
  • ③ 家庭で缶詰、真空パック等を作る場合は、加熱殺菌の温度に注意し、保存温度は3℃未満の冷蔵かマイナス18℃以下で冷凍しましょう。
  • ④ ボツリヌス毒素は80℃30分間の加熱で失活するので、食べる直前に十分加熱しましょう。
  • ⑤ 乳児ボツリヌス症の予防のため、1歳未満の乳児にはボツリヌス菌の芽胞の汚染されている可能性のある食品(蜂蜜等)は食べさせるのを避けましょう。


蜂蜜の包材には「1歳未満の乳幼児には与えないでください。」という注意書きが記載されています。

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